爪楊枝に装飾した理由は製造方法にあった
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こんにちは
爪楊枝の装飾、気になりませんか。いったいどのような意味があるのでしょうか。そして何故、頭の部分だけが黒いのか。
今日は『爪楊枝(妻楊枝)の装飾』についてのお話をしたいと思います。
爪楊枝の装飾(溝)
爪楊枝にある装飾は『こけし』と言います。
これは、昭和三十年代半ばに、高山の楊枝職人がこけしを模してデザインいました。こけしと名付けられた理由は、ご想像どおりの人形のこけしをイメージして作られたからです。現在多くのメーカーによって爪楊枝は作られていますが、各メーカーによってデザインは異なります。
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装飾した理由
爪楊枝はもともとノコギリで切断して生産されていました。ところが、このような作り方だと切断面(切り口)がざらざらした状態になってしまいます。そこでケバだった切り口を滑らかにしたいと考えました。滑らかな切断面を出す方法として考え出されたのが、グラインダー(砥石)による削る切断方法です。そしてその結果、現在の滑らかな切り口になったのです。
しかしそこにも問題がありました。その問題とは黒くなってしまうことです。
楊枝のもととなる丸軸の束を切断する際、機械を使ってものすごい速さで回転させて削って切断します。そのときに切断された面は焦げてしまい黒くなってしまいます。頭が黒い理由は、摩擦で焦げた色だったのです。
そしてこの黒い部分を美しく見せるために考え出されたのが『こけし』の装飾だったのです。爪楊枝に溝を入れて装飾した理由は、焦げを美しく見せようとしたものなのです。言われてみれば焦げた部分は黒髪に、溝を入れた部分は胴体に見えますよね。
ちなみに、よくあれは「爪楊枝置きだよ」と言っている情報は間違っているので信じないでください。そのような使い方もできるのか、くらいに聞いておいてください。
ちょっと雑談
爪楊枝の素材と製造方法
爪楊枝は白樺(しらかば)の木から作られています。製造方法は以下の通りになります。
白樺(しらかば)の丸太の皮を剥く
丸太を規定の長さに切断する
カットされた丸太を煮沸消毒する
丸太を(野菜の皮を剥く様に)薄く長い板状に切断する
薄くて長い板を更に短く切断する
乾燥させる
丸軸と呼ばれる細長い串のようなな形に加工する
選別する
串のような丸軸を何千もの束にする
丸軸の束を爪楊枝の長さ(約65mm)に切断する
先を尖らせ、溝をつける
今日の最後に
爪楊枝に付けられた装飾はこけしと呼ばれ、削って切断する際にできてしまう焦げを美しく見せるためのものだったのです。たしかにこけしの装飾がないよりか、あった方が美しく見えますよね。装飾は職人さんの知恵です。爪楊枝を使う機会があったら眺めてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。