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けんちん汁の料理名は江戸時代には付けられていた!

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けんちん汁の由来




こんにちは
ご家庭でもお馴染みの料理にけんちん汁があります。でも、この料理名に少し疑問に感じませんか。 『けんちん』なんて少し変わった名前ですよね。このは料理名はどこからきたのでしょうか…。
そこで今日は以前から気になっていた料理名、『けんちん汁』についてお話をしたいと思います。

アツアツのけんちん汁




けんちん汁の由来

けんちんの料理名には2つの説があります。

一つは中国から伝わった説です。
中国の「普茶料理(ふちゃりょうり)」と言う精進料理の中に、巻繊と呼ばれる料理法があります。普茶料理とは、江戸時代初期に中国からもたらされた精進料理の一つです。 葛とゴマ油などの植物油を多く使った濃厚な味で、一つの卓を四人で囲む形式が特徴の料理です。代表的な普茶料理には、精進うなぎ、胡麻豆腐などがあります。
この普茶料理の中に『巻繊』と言われる料理があります。巻繊は、根菜類やシイタケ、麩(ふ)を繊切りにし油と醤油で炒めます。これを湯葉や薄焼き卵で巻いて揚げた料理が巻繊です。
中国では巻繊のことを「 けんちゃん」又は「けんちぇん」と言い、これが日本で変化して「けんちん」となりました。

もう一つの由来は、鎌倉時代に創建された禅寺で神奈川県鎌倉市にある「建長寺(けんちょうじ)」に由来していると説です。
建長寺の修行僧が、崩してしまった豆腐を使って汁物が美味しいと広まり、お寺の名前をとって「建長寺の汁」なりました。そしていつのまにか「建長寺(けんちょうじ)の汁」⇨「建長寺汁(けちょうじしる)」⇨「けんちん汁」となり広まったのです。


けんちん汁の由来

発祥は中国の普茶料理の一つ、巻繊で間違いありません。この料理が江戸時代に中国から京都の宇治市にある黄檗宗(おうばくしゅう)萬福寺(まんぷくじ)に伝わり、ここから黄檗系寺院や周辺のお寺へと広まり関東でも食べられるようになりました。けんちんと言う語源は、巻繊( けんちゃん、又はけんちぇん)が有力と考えられます。
そしてけんちん汁と言う名前が全国に広まったのは、建長寺汁(けちょうじしる)の説が大きいと思われます。
今現在、実際にはけんちん汁の発祥は、残念なことに明確には分かっていません。


ちょっと雑談

けんちん汁と豚汁の違い

二つの違いで言われているのが、根本的な違いは精進料理であるかないかの違いです。けんちん汁は寺院で食べられていた精進料理であるのに対して、豚汁はお味噌汁の一種です。
作り方もけんちん汁は「具材を油で炒める」のに対して、豚汁は炒めないのがほとんどです。味付けも醤油ベースなのに対して、豚汁は味噌汁の一種なので味噌味です。この二つの違いは、精進料理と家庭料理との違いと言っていいでしょう。


けんちん汁
精進料理の一つで、一度油で炒めたものを昆布だしの汁に醤油を加えて炊く。肉・魚類は一切使わない。タンパク質は大豆製品を使う。


豚汁
明治時代以降に作られた家庭料理(味噌汁)。豚肉さえ入っていれば具材は自由。

このような違いの両者ですが、昔に比べて大きく変わっています。それは、けんちん汁にも肉(鶏肉)が入るようになり、豚汁も炒めてから作るようになったことです。時代とともに変化してゆくのは仕方のないことですね。
具材や味の好みは自由なので、違いに関しての醤油味と味噌味の違いと、精進料理と家庭料理との違いだけでも覚えてほしいですね。


今日の最後に

けんちんという料理名は普茶料理の巻繊からきたがもっとも有力。また建長寺の汁からきた説もあります。文献などが残されていないため、明確な答えは今後も出ないでしょう。
でも、けんちん汁って美味しいですよね。ところで、けんちん汁の中に蕎麦やうどんを入れて食べると美味しいですよね。茨城県では蕎麦を使うそうですが、私は蕎麦の代わりにうどんを入れて食べています。麺はけんちん汁との相性がいいのでお勧めです。試してみてください。 最後までお読みいただきありがとうございました。


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