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「あんず」はどんな果物なの?

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あんずの花




こんにちは
ドライフルーツとして見かけることが多い杏(あんず)。メジャーな食べ物ではないので、どのようなものかご存知のない方もいらっしゃると思います。食べる機会って、そんなにありませんよね。
そこで今日は『杏(あんず)』についてお話をしたいと思います。

杏ってなに?




杏ってなに?

 杏(あんず)は、「杏子」と表記されることもある果実です。英語名はアプリコット(Apricot)と呼称されます。
原産地は中国北部、中央アジア、ヒマラヤ西部と言われています。中国では、2000年も前から種の中にある「杏仁(きょうにん)」を収穫するために栽培されていたようです。この杏仁は、食用とせず漢方薬として利用されていたそうです。その後、中国からヨーロッパへと渡り、中東やアフリカへも広まりました。そして18世紀頃にアメリカに渡ったとされています。


 日本へは中国から渡来しました。平安時代の書物に「カラモモ」という和名で記録が残っていることから、この時代には栽培が行われていたことが考えられます。


 薬として使われていた杏を食べるようになったのは、江戸時代に杏干として食用されたことに始まりです。生の杏を食べるようになったのは明治時代になってからのことです。そして本格的な栽培が行われたのは、ヨーロッパ品種が積極的に導入された大正時代からと言われています。



杏は薬?

 薬として利用されていた杏ですが、その効能はどのようなものだったのでしょうか。


 薬用にするのは種子で「杏仁(きょうにん)」と言い、咳止めとして使われてきました。その効能は下記のとおりです。


杏の効能

  • 肺を潤す

  • 咳を止める

  • 潤いを生み出し渇きを止める


 また、杏仁には食べて甘い甜杏仁(てんきょうにん)と、苦い苦杏仁(くきょうにん)とがあります。薬用には苦杏仁が使われ咳を鎮めます。食用には甜杏仁が使われ、粉末にした甜杏仁を、寒天を牛乳で溶かしたものに入れて作る杏仁豆腐に用いられます。


 ただし、種子(仁)には猛毒の遊離シアンや青酸配糖体アミグダリン(amygdalinC20H27NOH)約3%が含まれ、そのまま20~40粒ほどを食べると多量のシアン化水素酸が遊離され、呼吸中枢を麻痩させて窒息死してしまいます。


 回避するには種子をすり潰すことです。アミグダリンは杏仁自身に含まれる酵素のエムルシン(emulsin)によってベンズアルデヒド(benzaldehyde)、青酸およびブドウ糖加水分解されます。



気になる杏の栄養

杏の栄養


 杏には、リンゴ酸やクエン酸などの有機酸、ビタミンA(β‐カロテン)やビタミンCなどのビタミン類と、カリウムやリン、そして鉄分などのミネラル類が含まれています。また、アミノ酸の一種であるGABA(ギャバ)も含まれています。


 特に多いのがβ-カロテンが豊富で、意外なことに100gあたりの生あんずのβ-カロテンは、ホウレン草の約1.1倍、小松菜の約1.5倍もあります。免疫力を高める効果があるので見逃せませんね。



杏の選び方と保存

 杏を選ぶときは、十分に熟し、濃い橙色になっているものを選びましょう。日持ちを考えると、表面に傷や柔らかくなってしまったものは避けた方が良いでしょう。


 熟した果実は傷みが早く、あまり日持ちしないので冷蔵庫で保存します。保存期間は2~3日になります。



今日の最後に

 現在では食用とされることが多い杏は、古くは薬として使用されていました。当時は果肉の部分は使われていなかったようですね。


 杏の旬は6~7月です。この時期にしか生のものは入手できないので、生杏を召し上がってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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